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薬物療法について
薬物療法は精神科医療には欠かせません。心理士が薬物療法をどのように理解すべきかを考えたいと思います。
原則として日本で薬剤の処方箋を交付できるのは医師のみです。しかし患者様が薬物療法と心理療法を同時におこなうことは精神科医療では珍しいことではありません。そのため心理士も精神科薬の知識を持つことは決して無駄ではありません。これまでの大学院カリキュラムでは薬剤の講義を長時間受けられた方は少ないと思われます。
精神科の薬
精神系の薬剤は総称して向精神薬と呼ばれます。その中でも統合失調症や双極性障害に主に処方される抗精神病薬といいます。最近ではあまり使用されませんが、一昔前までは抗精神病薬をメジャートランキライザー、不安や眠剤などの抗不安薬をマイナートランキライザーと呼んでいました。患者様はよく「安定剤を服用している」と言われることが多いですが、単に抗不安薬のことを指している場合ではないことがあります。
不安障害だから抗不安薬を処方され、統合失調症だから抗精神病薬を処方されるという単純なものではありません。患者様の症状や程度によって処方されますので、やはり患者様の症状理解と医師との共通認識が大切になります。
特に近年、CBTなどでは回復とともに減薬をアジャンダとして扱うこともあるようです。処方する医師と協働するためにも心理士は薬の効果や減薬パターンなどを理解しておく必要性は増していると考えます。
精神科薬の動向
日本では精神科薬に抵抗を示される方が多くありません。また精神科よりも心療内科やメンタルクリニックを受診するほうが敷居が低いという方が多いのではないでしょうか。
精神科薬を服用するかの是非について議論はここではいたしません。精神科の薬を含めて、流通している薬剤は臨床試験を経て、安全性が確認されたものであることは間違いありません。薬剤の承認は医薬品医療機器総合機構(PMDA)
がおこない、薬剤の適用に関する情報などはここから情報発信がなされます。
しかし、精神科薬の処方についてこれまで問題がなかったわけではありません。これまでの反省も踏まえて、近年日本でも多剤処方から単剤処方へ切り替える動きが学会を中心におこっています。医師向けに治療ガイドラインや処方ガイドラインを主に学会主導で作成し、きちんとした基準を設定されつつあります。心理士が目の前の患者様に薬剤の服用を強要したり、断薬をすすめることは言語道断です。ガイドライン等も含めて知識を得ることは大変有意義ではないでしょうか。
統合失調症薬物治療ガイドライン 日本神経精神薬理学会
http://www.asas.or.jp/jsnp/img/csrinfo/togoshiccho_00.pdf
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン 日本睡眠学会
http://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf
BPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン 厚労省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000036k0c-att/2r98520000036k1t.pdf
日本うつ病学会治療ガイドライン
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/mood_disorder/img/160731.pdf
この他にも薬剤の詳細は製薬企業や他のサイトでも詳しく扱われています。