愛知県大府市の認知症の男性=当時(91)=が2007年、同市の駅で電車にはねられたのは、家族が見守りを怠ったからだとして、電車の遅延の賠償金約720万円を遺族からJR東海に払うように命じた判決が8月、名古屋地裁であった。徘徊(はいかい)は予見不能と遺族は主張したが、地裁は、医師の診断書などから徘徊は予見できたと認定。在宅介護する妻(85)=同=が男性から目を離したことなどを注意義務を怠ったと指摘し、JRが求めた損害賠償の全額の支払いを遺族に求めた。判決後、「すべて家族の責任とは、家族にとって過酷」「認知症の人の閉じ込めにつながる恐れがある」とネット上などで議論が起きた。遺族は控訴しており、地裁判決の是非は高裁判決に委ねるが、一つ言えるのは、社会がリスクも含めて認知症と本格的に向き合う時代が来たということではないか。2013.9.29中日新聞
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