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処方薬で依存症に 治療や減薬 日本では指針なく患者増

睡眠薬や抗不安薬の服用量が増え、自らの意思ではやめられなくなる「処方薬依存症」が問題となっている。医師の処方薬だけに患者の安心感は大きいが、服用法を誤ると薬物依存症に陥る。富山県高岡市では睡眠薬の過剰摂取者が、薬を盗もうと病院に侵入する事件も発生した。
薬物依存症の患者を支援する民間団体「富山ダルク」(富山市)の林敦也施設長(39)は「依存症の根っこにはストレスがある。本人が抱える問題をはき出せる場が地域になく、孤立してしまうと回復は難しい」と語り、家族だけでなく支援を受ける場や仲間づくりの必要性を訴える。
 国立精神・神経医療研究センター(東京)の調査結果は、処方薬依存の現実を示す。全国の精神科の医療機関を通じ、患者が使っていた主な薬物をアンケートしたところ、2009年までは覚せい剤、有機溶剤の順に多かったが、10年には覚せい剤(全回答の53.1%)に次いで睡眠薬・抗不安薬(17.7%)が2位になった。 不眠症は成人の10人に1人が患い、投薬も有効な治療法と考えられている。しかし、センター精神生理研究部の三島和夫部長は「米国では依存性の弱い薬を優先して処方する治療の指針があるが、国内では徹底されていない」と話す。
 センターは6月、睡眠薬に関する診療指針をまとめ、ホームページ(HP)で公開した。三島部長は「不眠症が治っているのに薬を飲み続ける患者もいる。医師は漫然と処方せず、症状に合わせて減薬を試みることが大切」と指摘。減薬のためにリラクセーション法で体をほぐしたり、就寝時間を記録し、きめ細かく管理する認知行動療法を勧める。2013.11.5  中日新聞

編集部