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オンライン大学は米国の教育危機を救えない

先週「MOOC(Massive Online Open Coursesの略。大規模公開オンライン講座)」を信奉する人々に衝撃が走った。米シリコンバレーでMOOCを推進してきた先駆者の一人、セバスチャン・スラン氏が「ろくでもないプロダクト」と切り捨てたからだ。元スタンフォード大学教授のスラン氏が立ち上げた「ユダシティー」でオンライン講座を受講していた学生は、生身の人間による講義を受講していた学生よりはるかに成績が悪く、受講者の90%以上が途中で学習に興味を失ったり、ドロップアウトしたりした。テクノ楽観主義者が好んで指摘するように、今では米議会図書館の蔵書や名門大学の講義を無料でダウンロードできるようになった。時代に取り残されまいとする年配の従業員、米軍の予備兵、インドのような国の野心あふれる若者など、いくつかの意欲の高い層ではオンライン講座を修了する割合が高い。だがスラン氏の受講生をはじめ、たいていの人は急速に興味を失ってしまう。要するに、米国の教育者が直面している本当の課題は、熱意の乏しい大多数の人にいかに意欲を持たせるかなのだ。言うは易く、行うは難し。馬を水辺に引いていくことはできても、水を飲ませることはできない。2013.11.26日本経済新聞

編集部