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「産めない」日本女性、「産まない」スウェーデン女性 変遷する家族~北欧・福祉社会の光と影(36)

なぜこのスウェーデンで積極的に「子を持たない」ことを選択する人たちがいるのか。20代、30代で不妊手術を受ける女性もいる。男性もいるが、手術を受けるのは女性の方が圧倒的に多いようだ。子供をつくらない理由についてドイツ語教師のアニータ(女性)は、「現在の生活に満足しているから」と言う。
 別に子供が嫌いなわけではないし、姉の子供たちを遊園地やレストランに連れていったりなど、子供と遊んだりするのは楽しいと思っている。が、自分で子供を育てるのは困難に思えるし、何よりも子供を持つことは自分の時間や生活が犠牲になるように感じるので避けたいと言っている。イタリア語教師のクリスチャン(男性)は、単に「子供がいる生活に興味を持てない」のが理由だ。どちらも30代で、アニータはパートナーといっしょに住んでいるが、クリスチャンはそういう人はいないようだ。アニータの言う「子供を持つことは自分の時間や生活が犠牲になる」という意味は、私はよく分かるような気もする。彼女とパートナーの男性は、都市中心部の瀟洒なアパートに住み、夏休みや冬休みにはギリシャやトルコなど地中海沿いのリゾートで過ごし、私から見れば何の束縛もしがらみも制約もない自由を謳歌しているように見える。結婚もしていない。「別に、子供のいる人たちを批判しようとか、そういうつもりは全くない。ただ単に、子を持たない私たちの生活が楽しいし、好きだからこうしている。子供がいたら、こんなふうにできるとは思わない」。まったくその通りだ。うらやましいなと言うと、こう答えた。「でもねえ、『子を持たない』ことに反発したり、気分を害したりする人は多いわね。『そのうち気が変わる』とか、『後悔するよ』と言う人も多いし。特に子供を持っている人は、『子供を持つのがベスト』と考えているみたい。私の父親もがっかりしてたしね」2014.01.09 JB PRESS

編集部