「アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease;AD)の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害薬の服用によって、意欲の低下が改善すると、本人は家事や仕事を手伝おうとしたりする。しかし、以前のように家事や仕事をこなせるわけではない。したがって、意欲は高まったものの失敗の頻度が増えるという事態が生じる。このときの後始末は家族や介護者がすることになるため、結果的に家族の介護負担が増えてしまう。そのため、家族は本人の行動を止めざるを得ないこともある。こうしたことが繰り返され、『あれもしてはいけない』『これもしてはいけない』などと制止され続ければ、本人は不満に思うに違いない。また、失敗が増えたことを非難されたり怒られたりすれば、さらに精神的に追い込まれるだろう。以前よりも失敗が増えたことに対して、自分を責める人もいるだろう。こうしたことから精神的に不安定になり、BPSDに結びつくことがある。結果、周囲からはコリンエステラーゼ阻害薬が原因でBPSDが出現したようにみえるのである。」
2014.2.5 apital