持続的にコンピューターやインターネットを使用することで、「脳が再配線される可能性がある」と考えているのは、神経科学者でオックスフォード大学教授のスーザン・グリーンフィールド氏です。(ちなみに彼女は男爵位を持ち、英国王立協会の会長を務める、イギリスで最も著名で、影響力のある神経科学者のひとりです)その“再配線”は、集中力の低減とその場限りの満足感を促進し、共感能力の欠如を引き起こすなど、悪い方に配線が変化するというのです。スーザン教授は、次のようにコメントしています。「気候変動と同じぐらい重大なことだと、私は認識しています。もちろんPCやインターネットを使うことは、気候変動のように地球そのものの存在を脅かす現象ではありませんが、人間の存在を脅かしていると考えています。将来、人間がどのような存在となるかが、変化しうるということです。私達は前例のない変化を、目の当たりにしていることを意識すべきです。変化がよきにつけ悪しきにつけ、対策をしておかねばなりません。良いことも起きることでしょう。しかしそのコインの裏側となる悪しき変化は甚大です」
アメリカのタフツ大学の認知神経科学者メアリーアン・ウルフ氏は、長時間のコンピューター使用によって損われる可能性があるのは、読書をすることや読んだことについて考えることで磨かれる“脳の回路”であるとコメントしています。「ある情報について深く考えるには、時間がかかるものです。それなのにネット上では、さっさと気晴らしから気晴らしへと飛んでいくことができます。これでは大人でも、じっくり読み深く考える脳の回路が退化してしまいかねません。そして子どもの場合は、脳の回路がきちんと発達しない可能性があります」2012.3.5 Menjoy