熟練セラピストと初心者セラピストの共感の違い
インタビュー調査へのご協力のお願い
研究の概要:
カール・ロジャースが、クライエントの変化に必要かつ十分な条件の一つとしてセラピストの共感を仮定して以来、共感の治療的な効果について、多くの研究が行われてきました。現在、セラピストの共感は、オリエンテーションを問わず、心理療法を成功に導く重要な要素の一つとして考えられています。セラピストがクライエントにより適切な共感をすることで、より高い治療効果を生むことが期待されます。
臨床場面における共感には個人差がありますが、経験と訓練により向上させることがで
きると考えられています。また、共感が上手なセラピストであっても、経験と訓練を重ねることで、共感の質が変化していくことが考えられます。しかし、熟練セラピストと初心者セラピストの共感について、実証的に比較して検討した研究は、とても少ない状況です。
本研究は、熟練セラピストと初心者セラピストの共感を比較することで、セラピストの共感が、経験と訓練を重ねることで、どのような質的な差を生じるのかを探索することを目的にしています。共感についての理解を深めることで、心理療法の発展や、より効率的な臨床家のトレーニングに貢献することを目指しています。
研究方法と手続き:
カウンセリングの場面を撮影した動画を視聴していただき、その後に、対面でインタビューを行います。時間は、全体で 90 分程度を予定しています。期間は 2018 年 7 月~2018年 9 月頃の予定です。場所は、お茶の水女子大学を予定しておりますが、協力者とご相談の上、プライバシーが確保できる場所で実施することも可能です。
ご協力をお願いしたい方は、臨床心理士の資格を持ち、臨床経験年数が 15 年以上、または 5 年未満の方で、クライエント中心療法などのヒューマニスティック・アプローチを取
り入れたカウンセリングを行っている方になります。他の技法を組み合わせていても構いません。
インタビューの主な内容は、①動画のクライエントのどこに注目して共感したか、②共感する上で意識したこと、③セラピストとして、動画のクライエントにどのように対応するか、④臨床場面における共感は、どのような効果や役割を持つと考えるか、についてです。
プライバシーと情報管理:
インタビューの内容は許可を頂いた上で録音し、逐語録を作成いたします。個人が特定されないよう、逐語録は固有名詞を伏せて作成します。そして、逐語録をもとに、質的研究法を用いて共通の意味や主題を抜き出す作業を進めて参ります。
記録の管理保管については万全を期し、インタビュー内容と協力者の個人情報とが関連づけられないよう、研究参加の同意書・逐語録・録音媒体は、それぞれ別に、鍵のかかる保管庫において、厳重に保管・管理します。なお、同意書・逐語録・録音媒体は、10 年間保管した後、廃棄いたします。研究者本人も、協力者の個人情報については他に漏れることの無いよう、守秘・管理を万全に行います。協力者の個人情報を含む記録は持ち歩かず、電子データにはパスワードをかけるものとします。
結果の発表と研究協力の謝礼:
調査結果は、研究者の修士論文として、お茶の水女子大学大学院に提出させていただきます。また、国内外の臨床心理学関連の学会または学会誌に発表させていただく可能性があります。結果を報告する論文、報告書、および専門書において、逐語録の内容の一部を抜粋する場合には、個人が特定される情報を削除し、問題の本質のみが維持される形で記述いたします。
なお、研究実施前でも、研究終了後でも、またインタビュー実施中でも、本研究の期間中(2018 年 12 月 31 日まで)であれば、本研究への参加取り止めは可能です。インタビュー中あるいはインタビュー終了後に参加を取り止める場合には、録音媒体は完全に消去し、逐語その他の書類も処分致します。
インタビューにご協力いただいた方には、心ばかりではございますが、1 回のインタビューにつき 3,000 円の謝礼をさせていただきます。ご多忙中の折、恐縮ではございますがインタビュー調査にご協力をいただきたく、お願い申し上げます。ご協力いただける方は、お手数ではございますが、瀧口までご連絡をお願い致します。尚、調査についてのご質問やご意見などございましたら遠慮なくご連絡下さいます様お願い申し上げます。
敬具
2018 年 7 月
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻
博士前期課程 2 年
指導教員:岩壁茂准教授
瀧口 香織
連絡先
e-mail: g1740321@edu.cc.ocha.ac.jp
瀧口 香織