アーカイブ視聴「フェレンツィとバリントの精神分析」
■概要
フェレンツィはブタペスト学派の祖であり、バリントはその最良の弟子であった。ブタペスト学派は、精神分析の理論や技法に偉大な貢献をしたが、精神分析サークルにおいては長らく抑圧されてきた。この事態はブタペスト学派の祖であるフェレンツィの著作が長らく発禁状態であったことと関係している。フェレンツィの最重要著作である『臨床日記』が出版されたのは、彼が亡くなった1933年から50年以上経った1985年であった。
『臨床日記』の発刊以降、欧米では「フェレンツィ・ルネッサンス」と呼ばれる再評価が進んだが、精神分析の主流派に影響を与えることはなかった。しかし、西園昌久は、フェレンツィを対象関係論の先駆けと評し、その「先駆的チャレンジを無視してはならない」と書いている。
それまでの精神分析では治療者と患者は権威関係にあり、一方的に無意識を解釈していくものであった。言い換えると一者心理学と言えるだろう。しかし、フェレンツィは治療者と患者の対等で、人間的な関係を重視した。その精神は弟子のバリントにも引き継がれていった。現在の精神分析では対象関係論的な視点は非常に重要で、欠かせないものとなっている。その基礎は実はこのブタペスト学派の祖であるフェレンツィとその弟子のバリントによって築かれていったのである。
また、フロイトは現実的な外傷(トラウマ)の観点を放棄し、内的空想論にシフトした。しかし、フェレンツィは現実的な外傷をこうむった患者の精神分析に果敢に挑戦した。現在での児童虐待や暴力被害者のトラウマは重要なテーマである。フェレンツィの精神分析臨床を振り返ることにより、こうしたトラウマについて深く、奥行きのある知見を得ることができる。
ブタペスト学派の精神分析は現在を生きる私たちに臨床上のヒントを与えてくれるだろう。
この講義ではブタペスト学派における精神分析の歴史、理論、臨床技法について議論するつもりである。
■講師
細澤仁 先生
所属:フェルマータ・メンタルクリニック、アイリス心理相談室
資格:精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本精神分析学会認定精神療法医・スーパーバイザー
出身大学:神戸大学医学部 卒業
経歴:神戸大学大学院医学系研究科助手、兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授を経て、現職。
■アーカイブ視聴期間
2023年1月23日(月)~2023年4月24日(月)
■参加費
6,700円
・振り込み後のキャンセルは可能です。参加費の返金に応じます。
・システムの問題、急用、体調不良などで十分に視聴できない時でも返金します。
■アーカイブの視聴方法
参加申し込みをし、振り込みのあった方には視聴方法の具体的な案内をメールいたします。視聴はVimeoのシステムを使用しています。標準的なパソコン、タブレット、モバイルで、以下のブラウザを使用すれば問題なく視聴可能です。
Chrome 30以降
Firefox 27以降
Internet Explorer 11
Microsoft Edge
Safari 9以降
■参加資格
臨床心理士、公認心理師、医師、心理職、カウンセラー、精神保健福祉士、社会福祉士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、介護福祉士、看護師、保育士、教師などの資格をもつ対人援助の専門家、大学院生など。精神分析に興味を持っていればどなたでも参加可能です。
■参加方法
参加希望者は以下の申し込みフォームから必要事項を記入して送信してください。
https://s-office-k.com/professional/seminars/pro-sem-contact
■臨床心理士更新ポイント
臨床心理士の更新のためのポイントを2条(4)の項目(2ポイント)で申請する予定です。また、アーカイブ視聴でもポイント申請可能です。
■申し込み期日
2023年4月20日(木)まで
■主催
心理オフィスK( https://s-office-k.com )
■セミナーの詳細
https://s-office-k.com/professional/seminar/semi-ferenczi-balint