Research Results 研究成果
ポイント
概要
現代社会では、集団間で生じる紛争がさまざまな形で表れ、国家間の対立や移民問題、陰謀論の広がりにまで影響を与えることが指摘されています。本研究では、集団間紛争の問題の根底にある心理的要因として「敵-味方分断思考」に注目し、この思考が国際関係における否定的な政策態度や陰謀論信念の形成と関連を持つことを発見した。
九州大学大学院法学研究院の大賀哲准教授および福岡大学人文学部文化学科の縄田健悟准教授、福岡女学院大学人間関係学部心理学科の藤村まこと准教授らの研究グループは、日本国内の735名の回答を対象とした分析を行い、敵-味方分断思考の「国際関係における政策態度との関連」、「陰謀論信念との関連」および「統計的分析」について明らかにしました。
敵-味方分断思考という観点を導入することで、教育や対話を通じて敵・味方分断思考を低減させることで、社会の分断や対立を緩和することが期待されます。さらに、移民政策や国際協力の推進において、心理的要因を考慮する新たなアプローチが可能です。
以上の本研究成果は、SAGE Open誌において2024年4月に公開されました。
用語解説
(※1) 敵-味方分断思考
他者を「敵」と「味方」に明確に分けて判断する心理的傾向。この傾向が強いと、対立感情や排外的態度が生まれる可能性がある。
(※2) 陰謀論信念
特定の集団や勢力が悪意を持って社会を操作しているという陰謀論を支持する程度のこと。例として、「COVID-19が人工的に作られた」「アメリカ大統領選挙で大規模な選挙不正が行われた」といった主張が挙げられる。
論文情報
掲載誌: SAGE Open
タイトル: Friend–Enemy Divided Thinking from the Perspective of Intergroup Conflict: Relationship with International Attitudes and Conspiracy Beliefs
著者名: Kengo Nawata, Makoto Fujimura, and Toru Oga
DOI: 10.1177/21582440241249166
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