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広報・プレスリリース最新情報

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時間栄養学のための簡易評価ツール(Chrono-Nutrition Behavior Questionnaire; CNBQ)
~ 11日間食事日記との比較による妥当性研究 ~

東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野の村上健太郎教授、篠崎奈々助教、佐々木敏東京大学名誉教授らによる研究グループは、時間栄養に関する幅広い行動を簡易的に評価することを目的とした「Chrono-Nutrition Behavior Questionnaire; CNBQ」が、11日間にわたって収集された食事日記との比較において、十分な妥当性を有することを明らかにしました。CNBQは、時間栄養に着目した研究で必要とされる、さまざまな食行動や睡眠行動を十分な妥当性をもって測定できる、世界初の簡易ツールです。CNBQは、時間栄養に関する大規模な観察研究や介入試験で広く活用され、食に関する政策立案に不可欠である信頼できる科学的根拠の構築に大きく寄与することが期待されます。

※詳細はPDFこちら[PDF]をご覧下さい。

(2025/4/25)

家庭で心不全を早期発見するAIシステムを開発
~ 心不全重症度の新たな指標を構築 ~

東京大学大学院医学系研究科先進循環器病学の荷見映理子特任研究員、藤生克仁特任教授らの研究グループは、SIMPLEX QUANTUM株式会社と共同で、人工知能(AI)を活用した新しい心不全の早期検出システムを開発しました。

本システムは、単一誘導心電図データのみから、心不全の重症度を高精度(91.6%)で分類できることを実証しました。これにより、従来、植込み型心臓電気デバイス(CIED)に依存していた心不全の在宅モニタリングが、スマートウォッチを含む携帯型心電計で計測できる単一誘導心電図データのみを用いてできるようになり、心不全の進行を早期に検出することが可能になりました。さらに、AIによる独自の「HF(Heart failure)インデックス」を開発し、心不全の重症度を数値化する新たな指標を確立しました。

このようなアプローチによる心不全のリアルタイム評価システムの報告はこれまでになく、心不全管理のより良い医療を提示するものです。本システムの導入により、心不全患者さんは自宅で簡便に病状をモニタリングできるようになるため、再入院のリスク低減や早期の治療介入につながります。さらに、遠隔医療の発展や、心不全管理の効率化や患者さんの生活の質向上にも寄与することが期待されます。本研究成果は、日本時間4月24日に循環器領域の国際的な学術誌 「International Journal of Cardiology」に掲載されました。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2025/4/25)

肝臓由来のタンパク質「アクチビンB」が糖代謝を制御する新たな仕組みを発見
~ 糖尿病のすべての病態を改善できる治療薬開発への期待 ~

糖尿病は我が国のみならず全世界的に有病者が増加しており、血管合併症のみならずがんや老年症候群の要因ともなることが明らかになってきており、深刻な公衆衛生課題となっています。こうした中、国立健康危機管理研究機構(JIHS)糖尿病研究センターの植木浩二郎センター長および分子糖尿病医学研究部の小林直樹上級研究員らのグループは、東京大学大学院医学系研究科の山内敏正教授、門脇孝東京大学名誉教授やドイツ・ライプツィヒ大学Matthias Blüher教授らとの国際共同研究により、肝臓由来のタンパク質「Activin B」が糖代謝を改善する新たな仕組みを発見しました。Activin Bは、肝臓でFGF21の産生を促進しインスリン感受性を高める一方で、肝臓のグルカゴンに対する反応性(グルカゴン感受性)を低下させることで、血糖を改善するしくみを持つことが明らかになりました。また、肥満に伴いこの作用を阻害するタンパク質であるFSTL3が増加することも示され、糖尿病の新たな治療標的としての可能性が期待されます。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2025/4/24)

寄付講座設立による臓器移植体制の充実と次世代育成
~ 東大病院内に「次世代臓器移植開発推進講座」を開設 ~

東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)の脳死下臓器移植の受け入れ数は国内最多となっています。一方、増加する国内の脳死ドナーに対応するための人材育成、体制・設備の整備が急務です。そこで、移植を受けられた患者さんが設立した一般社団法人N28からの寄附をもとに「次世代臓器移植開発推進講座」を2025年4月1日に東大病院内に開設しました(協力講座:大学院医学系研究科 呼吸器外科学)。

本講座では、肺移植だけでなく、他臓器の移植や麻酔科、集中治療分野など、臓器移植に関わる多岐にわたる分野で、高度な専門知識と技術を持つ人材を育成します。これにより、これまで海外でしか学べなかった最先端の臓器移植に関する教育を国内で実現し、日本の臓器移植医療の国際的なレベル向上を目指します。また患者管理の効率化を図るための情報管理システムの研究開発を加速させ、より安全で質の高い臓器移植を実現するための基盤を構築します。

また本講座と関連して、臓器移植を優先して実施する高規格手術室の増設や、臓器移植患者を優先して受け入れるICUの増設など、臓器移植に必要な医療環境の整備を計画しています。

本講座の設置は、日本の臓器移植医療における大きな転換点となることが期待されます。当院は、この寄付講座を起点として、臓器移植に関する臨床、研究、教育の基幹施設としての「東大モデル」を構築し、日本の臓器移植医療を次のステージへと導いていきます。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2025/4/23)

メタボリックシンドロームの基準値を外れる肥満・内臓脂肪蓄積・脂質異常症と慢性腎臓病の関連
~ 大規模職域健診を受診した約30万人のデータ解析結果 ~

東京大学大学院医学系研究科の吉田 唯助教、松山 裕教授らの研究グループは、国内大規模職域健康診断実施団体である公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターの308,174名の約3年分のデータを解析し、追跡開始時点(ベースライン)のウェスト径、HDLコレステロール・中性脂肪値がメタボリックシンドロームの基準から外れている場合、及びBMI≧25kg/m²の場合に、将来尿蛋白が発生するリスクが高いことを明らかにしました。また、HDLコレステロール値が低いと、その後の腎機能低下と関連していることが分かりました。

本結果は、血糖・血圧のみでなく、肥満・脂質異常症・内臓脂肪蓄積が独立して慢性腎臓病の発症・進行と関連していることを示唆し、該当者の早期の発見・介入により慢性腎臓病の予防・進行の抑制に役立つことが期待されます。

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(2025/4/16)

認知機能が低下した高齢運転者は同乗者がいると事故を起こしにくい

高齢運転者による交通事故を防ぐため、運転免許更新時の高齢者講習や認知機能検査が長年行われ、近年では先進安全技術が搭載された安全運転サポート車の普及が図られています。本研究では、高齢運転者について、同乗者がいると事故を起こすリスクが低いという海外での知見や、同乗者を要する条件付き免許を採用している国があることに注目し、認知機能が低下した運転者においても、同乗者がいると事故を起こすリスクは低いという仮説をたて、これを検証しました。

2014年から2017年までに認知機能検査を受検し運転免許を更新した75歳以上の免許保有者のうち、免許更新後3年間に車両相互事故に遭った運転者を第1当事者(過失の重い方)と無過失の第2当事者に分けて、事故時の同乗者の有無を、認知機能検査の結果ごと(認知症の恐れがある人、認知機能低下の恐れがある人、いずれの恐れもない人の3群)に男女別で比較しました。

分析の結果、認知機能の程度にかかわらず、男女とも、第1当事者より第2当事者の方が同乗者を伴っているケースが多いことが分かりました。一方、二者間で事故の発生に寄与しうる要因(年齢、過去の事故経験、事故時の時間帯・天候・場所)に大きな違いは見られませんでした。

この結果は、認知機能検査で認知症や認知機能低下の恐れがあると判定された高齢運転者でも、同乗者がいれば、車両相互事故で第1当事者になりにくい可能性を示唆しています。因果関係を示すものではありませんが、高齢運転者の安全運転に同乗者が重要な役割を果たしているのかもしれません。

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(2025/4/15)

ニチバン、東京大学に「社会連携講座」を開設
~ 「世界から難治性創傷をなくす」ために、「次世代創傷ケアの開発」を目指す ~

ニチバン株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:高津敏明、以下「ニチバン」)は、国立大学法人東京大学(東京都文京区、総長:藤井輝夫、以下「東京大学」)において2025年4月1日より大学院医学系研究科に産学連携の社会連携講座「次世代創傷ケア開発学」を開設いたしました。本講座は5年間の期間を通じて次世代創傷ケア技術の開発と人材養成、並びに研究成果を看護教育に反映させることで患者の創傷治癒プロセスを加速させ、社会課題の解決を目指します。

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(2025/4/8)

尿酸輸送体GLUT9の立体構造を解明
~ 腎臓で尿酸値を協調的に調節 ~

横浜市立大学大学院生命医科学研究科の松下大輝さん(研究当時博士前期課程1年)、西澤知宏教授、李勇燦助教らの研究グループは、東京大学医学部附属病院の高田龍平教授、防衛医科大学校の松尾洋孝教授、豊田優講師(学内准教授)らとの共同研究により、体内で尿酸値の制御に関わる尿酸輸送体GLUT9の、尿酸が結合しているときの構造と結合していないときの構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析により明らかにし、それを基に行った機能解析から尿酸認識機構を解明しました。GLUT9を分子標的とする新たな尿酸降下薬の創製につながる重要な成果であると考えられます。

本研究には、本研究成果は、Cell Pressが発行する米国科学誌「Cell Reports」のオンライン版に先行公開されました(2025年4月5日)。

※詳細は東大病院HP掲載のリリース文書[PDF]をご覧ください。

(2025/4/8)

『行動するか?しないか?』は、高次運動野へ入力する二つの脳内経路の相反する信号によって決定される
~ To act or not to act の脳回路を解明 ~

東京大学大学院医学系研究科の吉田恵梨子大学院生(当時)、近藤将史助教、松崎政紀教授(理化学研究所脳神経科学研究センター脳機能動態学連携研究チームチームリーダー、東京大学大学院理学系研究科教授 兼担)、中江健特任准教授(当時、自然科学研究機構生命創成探索センター)、石井信教授(京都大学大学院情報学研究科)、小林憲太准教授(自然科学研究機構生理学研究所)らによる研究グループは、行動するかしないかを決定する大脳皮質回路機構を解明しました。マウスを用いた神経活動の計測・操作と、行動履歴と神経活動の数理解析によって、行動するかしないかに関する相反する信号が大脳皮質内と皮質下から高次運動野(M2)へ入力され、M2の神経細胞がこれらの信号を統合することで、行動開始信号が生成されるかどうかが決まることがわかりました。自律的なより良い行動を促す(行動変容)手法の開発や、行動決定異常に関わる疾患の理解への貢献が期待されます。

本研究成果は、米国のシュプリンガー・ネイチャー社(Springer Nature)が発行する学術雑誌『Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)』のオンライン版に 2025年4月4日(英国夏時間)に公開されました。

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(2025/4/4)