日本の心理学系学会には、様々な規模の学会があります。大学の研究科を中心とした小規模学会から、特定分野の専門の先生が全国から集まるような大きな学会まであります。内容で見れば、ワークショップを中心とした心理療法系学会や最新の研究成果を発表することに重きを置いたものまで様々です。小さい学会には、大学の同窓会のようなアットホームな雰囲気があり、大きい学会にはお祭りのような雰囲気があり実際に開催地の行政や観光協会がバックアップしてくれている学会もあります。ここでは、学会に参加することについて考えたいと思います。
① 学会に参加する目的を明確にする。学会は専門家の先生方が集まってディスカッションをする場です。まず参加したい学会を決めます。そして業績のために発表するのか、WSに出て技術を習得するのか、最新の知見を得るために行くのか、目的を明確にして学会参加するようにしましょう。時間とお金を消費し、何を得たのか分からなくなる危険性もあります。
② 大会のホームページを確認しましょう。大会ホームページは主催学会のホームページにリンクがあります。学生の場合は、先輩や指導の先生と一緒に行くことをお勧めします。学会のルールや発表のマナーなど実際に参加してみないと分からないこともたくさんあります。そしてそれらのマナーやルールは研究者にならなくても、社会人として卒業後に役立ちます。先輩や指導の先生と一緒に行くことで、研究者同士の夜の飲み会やロビーでの先生方の会話などに参加できる可能性も大きいです。反対に学生のうちから一人で参加すると、夜や空き時間など少し寂しい気持ちになります。
③ 参加する費用は、ひょっとすると所属する組織から援助があるかもしれません。学生であれば、研究科の学会活動支援制度があり、旅費などの補助があるかもしれません。また病院などに所属している場合も、補助が出るかもしれません。また労働規約に明示されなくても、職場で良好な人間関係であれば出張費扱いでサポートが出る可能性はあります。特に大会で発表する場合などは組織にもメリットとなりますので、積極的に事務に問い合わせて交渉してみるべきです。
④ 大会は必ず参加費が徴収されます。小さな学会であれば数千円、大きな学会や医学系学会では1万円を超える場合もあります。学生であれば学生料金が適用され減額される場合もあります。また当日参加よりも、事前に参加予約した方が安いこともあります。プログラムや抄録が別途料金で販売されることもあります。最近の大会ではホームページからプログラムがダウンロードできたり、日本心理学会などのように大会用アプリが作成されていたりします。特に遠方から参加する場合は、交通費、宿泊費、参加費だけでかなり高額になる場合がありますので、事前に合計金額を計算しましょう。ちなみに大きな学会などが地方で開催される場合、会場周辺や駅周辺のホテルは大会参加者と思われる予約でいっぱいになることがあります。参加することを決めた段階で、できるだけ早くホテルの予約を済ませましょう。そして領収証やレシートは必ず保存しましょう。
⑤ 指導の先生や研究科によっては、「大会の参加は、発表してナンボだ」という先生も多いです。その場合、大会終了後や大会中の夜に慰労と称して飲み会やプチ観光ツアーが開かれることが多いです。学生であれば、飲み会の予約や人数把握などの幹事を依頼されることがあります。あらかじめ役割やお店のリサーチなどをしておくとスムーズです。少なくとも飲み会でハメを外しすぎて二日酔いになるようなことは注意です。
⑥ 大会の服装は自由です。ですが発表者であれば、男性はスーツ、女性であればスーツやスーツに準じた服装が最低限のマナーです。学会の雰囲気によりますが、夏場でも男性はジャケットとネクタイを準備しておきましょう。学生の場合は、発表をしなくてもリクルートスーツがベターだと思われます。もちろん、先輩や先生に聞くのが一番です。
⑦ 大会に参加しての感想を書く必要がある場合があります。特に学生の場合や、所属する組織から金銭的サポートを受けている場合などです。後で困らないように、大会中は参加したセッションの資料やメモを保管しておきましょう。
⑧ 大会に参加して大切なのは、多くの人と交流を深め知見を広げることです。学生などはポスター発表時間などはすべてのポスターを一読し、積極的に質問をしましょう。
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