頭の中がほとんど空洞化、脳がわずかしか存在しないのに44歳まで普通に暮らしてきた男性

マルセーユのティモン病院に44歳の男性がやって来た。左足に軽い麻痺が起きたので、どこか悪くないか調べてほしいという。男性を診たのは、同病院のライオネル・フイエ医師。
フイエ医師は脳梗塞などの脳疾患の可能性を疑ったようで、男性をCTとMRIにかけることにした。スキャンで得られた結果は、驚くべきものだった。男性の頭の中には、脳組織がほとんど存在していなかった。この男性の既往歴を調べると、生後6ヶ月のときに水頭症(脳水腫)を患い、脳圧が危険なレベルまで亢進したため、中の脳髄液を抜く手術を受けていたことが判明した。しかし、その後、男性は普通に成長して大人になり、公務員の職に就き、結婚して2人の子供をもうけ、44歳の今日までごく普通の暮らしを続けてきたのである。ただし、神経心理学テストを実施したところ、男性のIQが75しかないことも判明した。言語性知能が84、動作性知能が70という結果だった。
「こうして、その男性は普通の生活を送ることができたのです」フイエ医師は言う。「知能が低めであっても、彼の成長や社会性の形成が阻まれることはなかったことになります」
フイエ医師は、この男性の症例を論文にまとめ上げた。その論文は、英国の医学ジャーナル誌Lancetの最新号に掲載される。2014.2.9  なんでも評点


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