年があけ、通常国会がいよいよはじまりました。昨年末に国会審議までいった「公認心理師法案」の審議は、アベノミクスの是非を問う衆議院の解散に伴い廃案になりました。審議が中断したまま廃案となった「公認心理師法案」は、現在開催中の通常国会において再提出されるかどうかの段階です。再提出されれば、審議が再開され法案の成立へと進行する予定です。
また一般社団法人 日本臨床心理士会では、3月13日投票締め切り(2月上旬に告示・投票開始)の代議員選挙を控えており、法案の成立・運営に関して大きな影響を及ぼす選挙となっています。この選挙は公認心理師法案に対していわゆる推進派・慎重派の闘いという構図になっています。
選挙という手法であるため、その運用はフェアでなければいけません。今回、編集部では「東京在住の臨床心理士さん」に届いた「東京臨床心理士会」からの「選挙依頼」ハガキについて資料を入手したため公表します。ここでは東京臨床心理士会が擁立した「公認心理師法案」の推進派のみが紹介され、かつ「現法案推進の立場の候補への投票をお願いします。」とされています。
一般社団法人東京臨床心理士会の会員に送られたと思われるハガキの裏面↓(選挙の公平さを保つために候補者の名前はサイラボ編集部にてマスクしました)
昨年末におこなわれた衆議院議員選挙では旅行代理店JTBが特定政党への投票を社員にメールで依頼したことで物議をかもしました。それは公職選挙法で禁止されている「事前依頼」や「投票依頼」「選挙運動」として抵触する恐れがあったからです。今回の東京臨床心理士会のハガキ送付は、国民主権に関わる国民の選挙ではないため公職選挙法違反ではありません。しかし「一般社団法人 日本臨床心理士会」及び「一般社団法人 東京臨床心理士会」は社団法人と名を冠する公益事業をおこなっている団体であります。また定款にもあるように「人々のこころの健康と福祉の増進に寄与する」とあり、臨床心理士さんだけの問題ではありません。また選挙という手法を用いるのであれば、関連団体はその選挙の運営に公正・公平でなければなりません。下記、定款第三章5.にあるように「代議員選挙において、正会員は他の会員と等しく代議員を選挙する権利を有する」とあります。所属する会員に、特定の候補者を立てることは第三章3.の「代議員選挙を行うために必要な規定は理事会において定める」とあります。団体が(会員の意向を考慮せず)候補者を立てることは大目に見ても、その候補者だけを団体の予算でハガキを作成し、特定候補者への投票を依頼する方法はフェアではありません。このような手法では、「本当に選挙の投開票が公正・公平におこなわれているの?」と主催団体である一般社団法人日本臨床心理士会の代議員選挙自体への信頼が失墜することを危惧します。
東京臨床心理士会の定款 第二章 目的及び事業です↓
サイラボでは公認心理師法案に対して国民に対する説明責任を果たすべく、透明性のある議論を希望します。そして公正で平等な選挙がなされ、その結果を尊重します。
2015年1月31日 Psylabo編集部
追記:1月31日の13:00にも東京臨床心理士会からハガキと同様のメールが会員に一斉送信されたようです。