被災時の飲酒問題(東日本大震災時の資料)NCNP を心理支援資料に追加しました
- 2016/4/18
- ニュース
東日本大震災時に作成された国立精神神経医療研究センターの資料です。
臨床心理支援資料に追加したしました。http://www.psylabo.com/?p=45252
http://ikiru.ncnp.go.jp/hisaichisien.html
被災地支援に行かれる方へ「避難所への支援物資にアルコールを入れないで」
東北関東大震災から1ヶ月がすぎました。交通機関の回復とともに、支援物資を携えて被災地入りの準備を進めている方も少なくないでしょう。しかし、被災地に出発する前にもう一度だけ、支援物資の内容を見直して欲しいのです。支援物資のなかに、アルコール飲料は含まれていないでしょうか?
平成7年の阪神淡路大震災の際、全国から避難所に届けられた救援物資のなかには、相当量のアルコール飲料が含まれていたといわれています。確かに日本人の感覚では、お見舞いのための「一升瓶」は、ごく自然な発想かもしれません。
しかしその結果、震災後1ヶ月以降より、避難所の被災者のあいだでは、酩酊での口論や暴力といった人間関係のトラブルが目立つようになり、さらに時間が経過すると、アルコール性の内科疾患やアルコール依存症が増えていきました。また、震災後、孤独死した高齢者の多くが、生前、避難所で増えた飲酒量が減らないまま、仮設住宅にこもってアルコールで寂しさを紛らわせていた方であったといわれています。
私たちは、阪神淡路大震災の教訓を無駄にしてはならないと思います。現在、避難所にいる被災者の方々もまた、まちがいなく、不安と喪失感を抱えながら我慢の多い生活を強いられているはずです。疲労も限界に達していることでしょう。このような状況での飲酒はとても危険です。ふだんよりも飲酒量が多くなりがちですし、比較的少量でも悪酔いし、人間関係のトラブルを引き起すことがあります。避難所は静かで落ち着いているように見えたとしても、それぞれの方がストレスをかかえて過ごしている場所です。そのような環境では、アルコールが思わぬ「爆発」を引き起しかねない危険物となりうることを忘れてはなりません。
私たちは決して、「被災者はアルコールを飲むな」といっているのではありません。ただ、これから支援に行かれる方にお願いしたいのです。「避難所への支援物資にアルコールを入れないで下さい」。
より詳細な資料は↓
http://www.ncnp.go.jp/pdf/mental_info_alcohol.pdf