【東京】研究協力者募集:心理臨床家・セラピストの文化的謙遜(Cultural Humility)に関するインタビュー調査:お茶の水女子大学の岩壁研究室
- 2019/3/12
- 研究協力者募集
心理臨床家・セラピストの文化的謙遜(Cultural Humility)に関するインタビュー調査
■研究の概要■
お茶の水女子大学の岩壁研究室では、心理臨床家・セラピストの文化的謙遜(Cultural Humility)に関する研究を進めております。
多文化カウンセリングの第一人者であるMosherら (2017)は、文化的謙遜をもつ個人は、他者指向の対人スタイル(たとえば、他者尊重的、他者に好奇心を示す、他者に優しい)を見せる傾向にあり、文化的な自己に対する気づきをもち、文化的多様性について生涯学んでいこうとする、と定義しています。文化的謙遜は、多文化化が進んでいる北アメリカでは、カウンセラーや心理臨床家がもつべき、重要な資質として挙げられるようになっています。これまでは、多文化コンピテンシー、つまり他の文化のクライエントを効果的に支援する技能という考え方がありました。文化的謙遜は、臨床家が獲得する「技能」よりも他者への「姿勢」を強調しています。
日本の文化では他者に対する尊重を謙遜として表すことが良しとされてきました。上下関係において目上の人に対して見せるべき態度としての謙遜も見られます。謙遜について文化的に豊かな土壌があるなかで、心理臨床家が体験され、重要視している文化的謙遜について理解し、整理することが効果的な心理療法のあり方、またその訓練に役立つと考えられます。
本研究は、文化的謙遜が臨床場面において日本の心理臨床家によってどのようにして表されたり体験されたりするのかということを理解することを目的としています。この分野の研究はまだ非常に少ないため、インタビューを通して、基礎的なデータを得ることを目的としています。
■研究方法と手続き■
調査方法は個別のインタビュー調査(60~90分程度)とし、期間は2019年3月~2019年6月頃を予定しています。協力をお願いしたい方は、臨床心理士養成のための大学院を修了されて臨床現場で働く方で、5年以上の臨床経験をお持ちの方です。勤務体系は常勤・非常勤どちらでも構いません。
文化的他者との臨床活動、または臨床現場でのかかわり(スーパービジョン、チームとして働くなど)がある方を対象としております。また「文化的他者」とは、①外国の民族・文化・言語的背景をおもちのクライエントや心理臨床家、②日本の文化的背景を共有しながらも、自身とは大きく異なる文化的背景(年齢、世代、ジェンダー、宗教的価値観、など)をおもちのクライエントや心理臨床家、のいずれも含みます。どちらかの経験についてお話しください。過去の体験、現在の体験でも構いません。
インタビューは、質的研究法ならびにインタビュー調査について訓練を受けているお茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科の博士後期課程に在籍する学生が実施いたします。インタビューは、協力者のご都合に合わせて対面または電話で行います。
インタビューの主な内容は、①文化的他者との臨床的体験について(できれば2つの体験について)、②文化的謙遜についての考え方・ご意見、③心理臨床家の文化的謙遜を育てるための訓練のあり方、についてです。
■プライバシーと情報管理■
インタビューの内容は許可を頂いた上で録音し、インタビュー実施者が逐語録を作成いたします。個人が特定されないよう、逐語録は固有名詞を伏せて作成します。そして、逐語録をもとに、質的研究法を用いて共通の意味や主題を抜き出す作業を進めて参ります。分析作業についても、研究代表者および質的研究法について訓練を受けた大学院生が行います。
記録の管理保管については万全を期し、インタビュー内容と研究参加者の個人情報とが関連づけられないよう、同意書・逐語録・録音媒体は、それぞれ別に保管・管理の上、研究終了後10年を過ぎた後に廃棄いたします。インタビュー調査実施者ならびに研究者も、研究参加者の個人情報については他に漏れることのないよう、守秘・管理を万全に行います。
■結果の発表と研究協力の謝礼■
調査結果は、主に国内外の臨床心理学関連の学会また学会誌に発表予定です。結果を報告する論文、報告書、および専門書において、逐語録の内容の一部を抜粋する場合には、個人が特定される情報は削除され、問題の本質のみが維持される形で記述いたします。
なお、研究実施前でも、研究終了後でも、またインタビュー実施中でも、本研究への参加取り止めはいつでも可能です。インタビュー中あるいはインタビュー終了後に参加を取り止める場合には録画録音媒体は完全に消去し、逐語その他の書類も処分致します。
インタビューにご協力いただいた方には、心ばかりではございますが、1回のインタビューにつき5,000円の謝礼をさせていただきます。尚、インタビュー終了後でも、調査への参加取りやめはいつでも可能です。
ご多忙中の折、恐縮ではございますがインタビュー調査にご協力をいただきたく、お願い申し上げます。ご協力いただける方はお手数ではございますが、岩壁(iwakabe.shigeru@ocha.ac.jp)までご連絡をお願い致します。尚、調査についてのご質問やご意見などございましたら遠慮なくご連絡下さいます様お願い申し上げます。
敬具
岩壁 茂(お茶の水女子大学基幹研究院 人間発達系 准教授)
〒112-8610
東京都文京区大塚2-1-1
お茶の水女子大学
基幹研究院 人間発達系 准教授
岩壁 茂
研究室(大学本館3階333)
電話 03-5978-5780(研究室直通)
Fax 03-5978-5780
e-mail: iwakabe.shigeru@ocha.ac.jp