【東京】研究協力者募集「心理臨床家の勇気に関するインタビュー調査:自己開示の勇気」:お茶の水女子大学大学院
- 2019/12/17
- 研究協力者募集
現在,「心理臨床家の勇気」に関する調査を進めております。
臨床家が,自身の心理的挫折や葛藤などの個人的経験に学び,その体験をクライエントに自己開示する勇気について理解することを目的に,インタビュー調査にご協力頂ける方を探しております。
■研究の概要■
「勇気」は,心理臨床家にとって無縁ではありません。クライエントが,決意して来談し,苦痛を伴うような過去の出来事や傷つきに向き合い,振り返る姿には勇気を感じることもあると思います。そして,そうしたクライエントと接する中で,勇気について学び,臨床家自身も勇気をもってクライエントと向き合うことを要請されると感じるのではないでしょうか。
近年,心理臨床家に求められる姿勢は,中立性を保つことから臨床家自身の自己をクライエントに見せ,積極的に自己を使う方向に変わってきています(Ziv-Beiman et al., 2016)。そして,臨床家からの積極的で,勇気ある行動は,クライエントに信頼や安心感をもたらし,深い感情的つながりを作り,クライエントの勇気を促進することが臨床的に指摘されています(Fosha, 2000)。臨床家の姿勢が積極的な方向へと大きく見直されている中,臨床家の勇気について科学的に検討することが求められています。
臨床家の勇気の発揮の一つには,臨床家の自己開示や自身の弱さを包み隠さずみせることが言われています(Lyman,2016)。臨床家自身の個人的な傷つきや挫折体験から培われた学びや成長をクライエントに自己開示することは,技術面だけでなく,一人の臨床家として非常にリスクを伴います。ですが,そうしたリスクをとってでも,臨床家が自身の過去の葛藤や挫折体験を通しての学びをクライエントのために治療的に使おうとする体験には,臨床家の嘘偽りなく自己を使い,クライエントとつながろうとする臨床家の勇気の本質が含まれていると考えます。
したがって,本調査では,臨床家自身が,自身の心理的挫折や葛藤などの個人的経験に学んだ体験をクライエントの癒しを促進するために自己開示する勇気について調査することを目的としています。そして,心理臨床家の勇気とは何か,また,その原動力もしくは必要な資質は何か,臨床家の勇気が関係性,面接プロセスにどのように作用するのかを質的分析をもとに検討することを目的としています。
■研究方法と手続き■
≪お願いしたいこと≫
個別のインタビュー調査(60分~90分程度)
≪ご協力をお願いしたい方≫
・臨床心理士養成のための大学院を修了されて資格を有し,臨床現場で10年以上働いている方
・勤務体系は常勤・非常勤どちらでも構いません。
≪時期≫
2019年12月~2020年3月頃を予定しています。
≪場所≫
協力者様のご都合のよい場所に伺わせていただきます。または,お茶大の一室にてお話を伺わせていただきます。
遠方の方は,電話もしくはSkypeなどで行います。
≪インタビュー内容≫
協力者様が,ご自身の過去の心理的挫折や葛藤,傷つき体験などの個人的経験に学び,その体験についてクライエントに自己開示した面接場面について伺います。印象的な面接場面を2つお話していただきます。そして,その時感じられたことやクライエントの反応,その後の面接の流れについてお尋ねします。また,それらの面接から,臨床家の勇気とはどのようなものか伺います。
■プライバシーと情報管理■
インタビュー内容は,許可を頂いた上で録音し,木村が逐語録を作成いたします。個人が特定されないよう,逐語録は固有名詞を伏せて作成します。そして,逐語録をもとに,質的研究方法用いて共通の意味や主題を抜き出す作業を進めて参ります。
逐語データの保存にあたっては,パスワードをかけハードディスクに一括管理し,音声データの入ったICレコーダーやその他分析過程で生じる書類を含め,全て研究室内の鍵のかかる保管庫において管理を徹底し,研究室外に持ち出しません。
なお,本調査において作成される個人情報の含まれるあらゆる資料の保存につきまして,個人情報が含まれる資料は速やかに破棄し,匿名化された逐語などの研究データは,徹底した管理のもと本調査結果の発表後10年間は保存し,その後破棄致します。
■結果の発表■
調査結果は,主に国内外の臨床心理学関連の学会または学会誌に発表予定です。結果を報告する論文,報告書,および専門書において,逐語録の内容の一部を抜粋する場合には,個人が特定される情報は削除され,問題の本質のみが維持される形で記述いたします。また,研究結果のフィードバックについてご希望がございましたら,調査者から直接,電子ファイルあるいは書面にてご報告いたしますので,お気軽にご連絡ください。
なお,インタビュー実施前でも,インタビュー実施中でも,インタビュー実施後でも,研究期間(2020年12月31日)までにご希望があった場合は,本研究への参加取り止めはいつでも可能です。インタビュー中あるいはインタビュー終了後に参加を取り止める場合には,録音媒体は完全に消去し,逐語その他の書類も処分致します。
■研究協力の謝礼■
インタビューにご協力いただいた方には,心ばかりではございますが,1回のインタビューにつき,5000円の謝礼をさせていただきます。
ご多忙の折り,恐縮ではございますがインタビュー調査にご協力いただきたく,お願い申し上げます。ご協力いただける方は,お手数ではございますが,木村(g1870303@edu.cc.ocha.ac.jp)までご連絡をお願い致します。
なお,調査についてのご質問やご意見などございましたら遠慮なくご連絡くださいますようお願い申し上げます。
敬具
2019年12月
お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科 人間発達科学専攻
発達臨床心理学領域 岩壁研究室
博士後期課程2年
木村友馨
連絡先:g1870303@edu.cc.ocha.ac.jp